【2021年提出分】確定申告の変更点を解説!控除額と給付金に注意!

【2021年提出分】確定申告の変更点を解説!控除額と給付金に注意!

記事更新日: 2021/02/08

執筆: 編集部

この記事では、2021年の変更点と従来の確定申告の手順を解説します。

2021年3月提出分の「令和2年度の確定申告」は、控除額の変更とコロナの給付金などが関係してきます。

電子申告がパソコンだけでなくスマホでも出来るようになったり、不要な添付書類が増えるなど、確定申告の簡素化も始まっています。

個人事業主やフリーランスの方は、申告ミスがないよう税理士や会計ソフトの活用も検討できます。

従来の確定申告と2021年提出分の変更点を確認しましょう。

2021年の確定申告は「控除額の変更に注意」

2021年提出分の「令和2年度の確定申告」は、控除の変更と給付金等の申告があります

収入から「控除(差し引いた)」所得から税金が算出されます。

「控除額」が大きいほうが納める税金は少なくなっていきます。

2021年の確定申告では「控除」の内容が変更されました。

変更点1:給与所得控除及び公的年金等控除が基礎控除への振替

画像出典元:国税庁リーフレット

給与所得控除及び公的年金等控除は特定の収入のみ適用される控除です。

給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を10万円引き下げた分、幅広い所得に適用される基礎控除の控除額は10万円引き上げられました

給与所得控除の表

 

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
変更前の給与所得控除額 変更後の給与所得控除額
1,625,000円まで 650,000円 550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで 収入金額×40% 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで 収入金額×30%+180,000円 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで 収入金額×20%+540,000円 収入金額×20%+440,000円
(※1)6,600,001円から8,500,000円まで 収入金額×10%+1,200,000円 収入金額×10%+1,100,000円
(※2)8,500,001円以上 2,200,000円(上限) 1,950,000円(上限)

引用:国税庁「No.1410給与所得控除」

※1:10万円引き下げ前までは「6,600,001円から 10,000,000円まで」
※2:10万円引き下げ前までは「10,000,001円以上」

公的年金控除も10万円引き下げとなるため、公的年金控除の表が変更されます

公的年金控除については、国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」のページをご確認ください。

変更点2:基礎控除の変更

基礎控除とは、収入から一律で差し引かれる所得控除(所得税や住民税など)の一つです。

以前の基礎控除は、無条件で一律年間38万円でした。

基礎控除は、10万円引き上げられ48万円からとなっています

 

基礎控除の表

納税者本人の合計所得金額 変更前 変更後の控除額
2,400万円以下 一律、38万円 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

引用:国税庁「No.1199基礎控除」

控除額が減少するのは合計所得2,400万円を超えてからです。

合計所得金額2,500万円超の場合、控除はありません。

変更点3:⻘⾊申告特別控除の要件が変更

画像引用元:リーフレット「青色申告特別控除額・基礎控除額が変わります」

⻘⾊申告特別控除が3種類(65万円、55万円、10万円)になりました

3種類のうち、どれに該当するかは下記のチャートで判断できます。

⻘⾊申告特別控除の判断チャート

画像引用元:国税庁「青色申告特別控除額に関するリーフレット」

  帳簿 決算書 要件
65万円控除 複式帳簿
  • 賃借対照表
  • 損益計算書
  • e-tax(電子申請)
  • 電子帳簿保存
55万円控除 複式帳簿
  • 賃借対照表
  • 損益計算書
  • 従来通りの書面でOK
10万円控除 単式帳簿
  • 損益計算書
  • 従来通りの書面でOK


2021年からの青色申告は、従来の書面申告では控除額が減額となります。

65万円の控除を受けるには「電子申告」「電子帳簿保存」が必須です。

電子帳簿保存の場合は「電子帳簿保存対応の会計ソフトの導入」と「電子帳簿保存の承認申請書を税務署に提出」という手順を踏まなければなりません。

今から65万円控除の青色申告の準備する場合は、e-Taxでの電子申告をおすすめします

変更点4:ひとり親控除が創設

創設されたひとり親控除は、2021年の確定申告の所得税から適用されます。

下記の対象者は、ひとり親控除として35万円が控除されます

ひとり親控除の対象となる人の範囲

1. 事実上婚姻関係の人がいない(単身者)

2. 生計を一にする子がいること(子の年間総所得金額等が48万円以下)

3. 合計所得金額が500万円以下であること

参考:国税庁「No.1171ひとり親控除」

変更点5:配偶者控除や扶養控除の要件変更

所得額が一定以下の配偶者がいる場合に受けられた配偶者控除ですが、これまでは配偶者の所得が38万円以下でなければ受けられませんでした。

2021年からは、48万円以下である場合は控除が受けられます

扶養家族の所得に関しても同様です。

コロナ禍の助成金・補助金の確定申告とは

コロナの影響で受け取った一部の助成金・補助金も確定申告が必要です。

助成金・補助金の例

非課税(申告不要)
  • 特別定額給付⾦
  • 子育て世帯への臨時特別給付⾦
  • 学⽣⽀援緊急給付⾦
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業⽀援⾦
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業給付⾦
課税(申告が必要)
【事業所得等に区分】
  • 持続化給付⾦(事業所得者向け)
  • 家賃⽀援給付⾦
  • 農林漁業者への経営継続補助⾦
  • 文化芸術・スポーツ活動の継続⽀援
  • 東京都の感染拡⼤防止協⼒⾦
  • 雇⽤調整助成⾦
  • ⼩学校休業等対応助成⾦
  • ⼩学校休業等対応⽀援⾦
【一時所得に区分】
  • 持続化給付⾦(給与所得者向け)。
  • Go Toキャンペーン事業における給付⾦
【雑所得に区分】
  • 持続化給付⾦(雑所得者向け)。

引用:令和2年分の確定申告においてご留意いただきたい事項 

上記は一例のため、詳細は税務署へお問い合わせください

特別定額給付金・子育て世帯への臨時特別給付金は不要

2020年に全国民に支給された「特別定額給付金」と子育て世帯への「臨時特別給付金」は、新型コロナ税特法によって非課税のため、確定申告は不要です。

事業者の「持続化給付金」は申告は必要

個人事業主やフリーランスの方が受け取った事業向けの「給付金」や「補助金」は、確定申告が必要です。

チケット寄附税制の創設

コロナの影響により中止したイベントの入場料等の払戻しの請求をしなかった場合の入場料は、寄附⾦控除(所得控除⼜は税額控除)の対象です。

イベント主催者は確定申告が必要です。

確定申告の手順

確定申告の手順 備考
1、確定申告に必要な書類を準備する 医療費の明細書や収入がわかる書類等
2、申告書を準備する AかBを選択し、ダウンロード
3、決算書類を準備する 個人事業主・フリーランスの場合
4、申告書を作成する 書面記入、もしくは電子申請
5、提出する書類を確認する  
6、申告書を提出する 提出期限:2月15日から3月15日まで
7、納税する、又は還付を受ける  

参考:国税庁「申告手続の流れ」

提出方法

  • 確定申告書類一式を定型郵便として税務署へ郵送する(令和3年4月15日(木)消印有効)
  • 確定申告書類一式を税務署の窓口に持参・提出する
  • e-Taxを使ってオンライン上で確定申告を行う

2021年の確定申告はパソコンだけでなく、スマホからも電子申告が可能です。

必要書類

確定申告書は2種類あります。

AとB、どちらに該当するかを確認しましょう。

申告書A 簡易的な申告ケースに使用(会社員などが医療控除や住宅控除の適用など)
申告書B 個人事業主・フリーランスなど詳細は申告が必要なケースに使用

ダウンロード先:国税庁「申告書用紙」

確定申告の添付書類の詳細は下記に詳細が掲載されています。
参考:申告書に添付・提示する書類

2020年(去年)の確定申告から「源泉徴収票」の添付は不要となっています。
参考:添付が不要となる主な書類

提出期限

通常は「2月15日から3月15日まで」の間に確定申告をします

15日が土日祝日の場合は翌月曜日が期間として扱われます。

提出後の訂正も「2月15日から3月15日」の間であれば出来ます。

ただし、期限が過ぎてからの訂正を含めた確定申告は罰則が発生しますので注意が必要です。

2021年提出の確定申告は「令和3年4月15日(木)」が提出期限となっています。

2021年の確定申告の提出期限は、コロナの影響で流動的になっています。

税務署のホームページ等で確認をしましょう。

【個人事業主におすすめ】三大会計ソフト

これまでに解説した会計ソフトの選び方のポイントを高い水準でクリアするクラウド型会計ソフト3つをご紹介します。個人事業主向け会計ソフトとして、おすすめなのが、この3つ。

三大会計ソフト

  • 会計freee
  • マネーフォワードクラウド(MFクラウド)
  • やよいの青色申告(白色申告)オンライン 


以上3種類のクラウド型会計ソフトについて、その特徴を比較してみましょう。

会計freee


手軽に導入できることから、個人事業主からの評価がとても高い「会計freee」(運営:freee株式会社)。

freeeが多くの個人事業主に選ばれる理由は、「簿記の知識がなくても、操作できる独自システム」です。

会計サービスそのものはもちろん、パソコンからもスマホからも、見やすく入力しやすいシステムが、生活の中で無理なく使いこなせるとして人気を集めています。

次に、freeeのサービスそのものについて、少しお話しましょう。freeeの個人事業主向け会計ソフトは、スタータープラン・スタンダードプラン・プレミアムプランの3段階が用意されています。

  スタータープラン スタンダードプラン プレミアムプラン
月払い
1,180円/月 2,380円/月 なし
年払い
11,760円/年(月当たり980円) 23,760円/年(月当たり1,980円) 39,800円/年(月当たり3,316円)
メンバー追加 freee認定アドバイザー以外はメンバー追加不可

4人目以降、1人あたり
月額払い 360円年額払い 3,600円

4人目以降、1人あたり年額払いのみ3,600円

※税抜価格
※スタンダードプランには、スタータープランの機能が含まれている


スタータープラン、スタンダードプラン、いずれも手頃な価格でスタートできるのですが、より手軽に始められるスタータープランです。しかし、ここでもやはり価格だけで選んでしまうのは要注意。価格の違いには当然、機能に差が出てくるわけです。

例えば、スタータープランにはついていない、「消費税の申告機能」について。

2年前の売り上げが1,000万円以上の個人事業主の場合、消費税の課税義務が発生するため、消費税の申告機能のあるスタンダードプランを選択したほうが良いでしょう。

その他機能に関しても、詳しくは公式ホームページにて確認し、あなたに合ったプランを選択しましょう。

 

マネーフォワード クラウド(MFクラウド)


マネーフォワード クラウド(運営:株式会社マネーフォワード)の魅力は、「自動化連携できる金融機関(銀行、クレジットカード会社など)が豊富」な点です。

同社が2018年1月に発表した資料では、対応する金融機関は2,650以上。また2018年11月、同社のプレスリリースでは、足利銀行提供の個人向け参照系APIと提携したことが発表されていました。

この点からみても、連携する金融機関がいかに豊富かを伺えます。

とはいえ、他のクラウド型会計ソフトにおいても、メインバンクやメジャーなクレジットカード会社など、一般的に多く使われている金融機関は網羅されています。

そのためマネーフォワード クラウドは、自社もしくは取引先が地方銀行などを常用している場合などに活用されると考えられます。

次に気になるコスト面について。マネーフォワード クラウドの個人事業主向け会計ソフトには、無料プラン・ベーシックプラン・あんしん電話サポート付きベーシックプランと、3つの選択肢があります。

  月額プラン 年額プラン
スモールビジネス 1ヶ月あたり3,980円 1ヶ月あたり2,980円
ビジネス(1ヶ月無料) 1ヶ月あたり5,980円 1ヶ月あたり4,980円

価格的にみると、マネーフォワード クラウドの無料プランも魅力的ですよね。しかし、無料プランでは会計仕訳が年間50件しか処理ができないため、年間で支出・売り上げが多い場合には、あまりお勧めはできません。

一方、会社勤めの傍ら、副業の範囲で小規模事業をしている方は「無料プラン」でも十分活用できるでしょう。

また、ベーシックプランでは、仕訳データ処理も無制限なうえに、他社の確定申告ソフトとも連携できるなど、本格的に事業を進める方にとって、オススメできる内容と言えます。

 

やよいの青色申告(白色申告)オンライン

やよいの青色申告(白色申告)オンライン(運営:弥生株式会社)は、パソコンにダウンロードするタイプの会計ソフトとして広く使われていた「弥生会計」がベースとなっている、クラウド型会計ソフトです。

つまり、会計ソフトのなかでも「老舗」と言えるでしょう。

やよいの青色申告(白色申告)の魅力は、なんと初年度が無料であること。

  プラン 初年度 通年(2年目以降)
青色申告
セルフプラン 無料 8,000円/年
ベーシックプラン(操作質問可能) 6,000円/年 12,000円/年
トータルプラン(操作質問・業務相談可能) 10,000円/年 20,000円/年
白色申告 フリープラン 無料
ベーシックプラン 4,000円/年 8,000円/年

※税抜価格

また、やよいの青色申告(白色申告)オンラインは使えば使うほど自動的に学習していくため、2年、3年と続けて使用する場合には、より高性能な状態で使えることが期待できます。

だからこそ、まずは1年間利用して、弥生会計ブランドの信頼度を体験してみるのもいいかもしれませんね。

 

まとめ

2021年の確定申告は、控除の変更とコロナの影響もあり、複雑になっています。

提出期限内であれば訂正は出来ますが、提出期限外になれば罰則の対象になってしまいます。

個人事業主やフリーランスの方は会計ソフトや税理士への相談も検討しましょう

画像出典元:Pixabay、国税庁ホームページ

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