ファクタリングとは、売掛債権の早期資金化を実現できるサービスです。
会社によっては即日対応も可能なため、すぐに現金が必要な場合に重宝します。
ただし、どの会社を選ぶかで、資金化までのスピード感や手数料、買取り可能金額は異なります。
今後ファクタリングを活用しようと考えている企業は、まずここでファクタリングの知識を深めましょう。
ファクタリングの概要や仕組み、メリット、さらにはおすすめのファクタリング会社を紹介します。
このページの目次
「資金を即日で調達しなければならない」などという状況に陥ったときのために、ぜひファクタリングの概要を理解しておきましょう。
ただし、「ファクタリング会社」という場合、主に以下の2種類があります。
このうち、保証型は「資金調達のため」というよりは「貸し倒れリスクを回避するため」に使われるのが一般的です。
ここでは、即日資金化にも対応する、買取り型のファクタリングについて紹介します。
ファクタリング(Factoring)とは、保有する売掛債券を素早く資金化できるサービスです。
企業は持っている売掛債権をファクタリング会社に売ることで、相手企業の入金を待たずに資金を得られます。法的には「債権の売買(債権譲渡)契約」です。
企業間の取引では、信用に基づいた「先出し後払い」が一般的です。ある企業が別の企業にサービスや商品を提供しても、代金がすぐに支払われるわけではありません。
相手からの入金に遅延が生じたり売掛金を回収しきれなかったりが続けば、企業の経営状態はたちまち悪化するでしょう。
ファクタリングの活用は、こうした「代金回収不能リスク」の低減に有益です。
売掛金をスムーズに資金化することで、企業はキャッシュフローを悪化させることなく健全な経営を維持しやすくなります。
売掛債権の活用については、日本政府の強い後押しもあります。
企業間で売買取引の契約を交わす時は、「売掛債権の譲渡禁止」特約を付けるのが一般的です。
この特約が付いた売掛債権については、取引相手の了承を得なければ売却できません。相手に経営状態を知られたくない場合などは、ファクタリングの活用は難しいでしょう。
しかし、2020年4月、売掛債権の譲渡に関する民法が改正されました。
ここでは、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない」と明記されています。
つまり、譲渡禁止特約付きの売掛債権であっても、当事者が「売りたい」と思えば売却できるようになったのです。
これにより、ファクタリングの活用はより一層スムーズになりました。
企業が「売りたい」と思っても、ファクタリング会社が買い取ってくれないケースがあります。例えば、以下のようなケースです。
ファクタリングでは、取引相手の信用度が高いほど売却がスムーズです。逆に言うと、取引相手の信用度が低い場合は売却不可となるケースが多いでしょう。
ただし、「買い取るか否か」を最終的に判断するのはファクタリング会社です。無理かもしれないと思っても、相談だけでもしてみることをおすすめします。
ファクタリングを活用する場合、手数料が必要となります。ファクタリングの形態やどの会社を選ぶかにもよりますが、売掛債権の額面のおよそ1~30%が一般的です。
一般に、取引企業の支払い能力が低いほど多額の手数料が差し引かれます。せっかく売掛債権を売却しても「ほとんど資金が入らなかった」というケースもあり得るでしょう。
あまりにも手数料負担が大きい場合は、ビジネスローンを検討した方が良い場合もあります。
ファクタリングを活用すれば、企業は負債を負わずに資金調達が可能となります。ファクタリングのメリットを具体的に見ていきましょう。
金融機関から融資を受けたいと考えても、自社の信用情報が悪ければ貸付は受けられません。すでに複数の融資を受けている場合なども、貸し付けてもらえる可能性は低いでしょう。
しかし、ファクタリングでは利用者の審査がありません。審査を受けるのは、利用者ではなく取引相手です。
相手の経営状態が良好なら、自社の経営状態の如何に関わらず売掛債権を売却できます。
「審査に落ちて資金調達できなかった」という事態にはなりにくいでしょう。
繰り返してきた通り、ファクタリングは負債ではありません。「利用すると信用情報に悪影響が出るのでは?」などと言った心配は不要です。
万が一取引相手が売掛金を支払わなかったとしても、それはファクタリング会社と取引相手との問題になります。売掛債権を譲渡済みなら、自社に責任を求められることはありません。
ただし、売掛債権について「償還請求権」を認める契約をしていた場合、自社に遡って責任が問われます。ファクタリング契約を行う際は、償還請求権について確認しておきましょう。
金融機関から融資を受ける場合、事業の経営状態や会社の資産、負債などを念入りに調べられます。しかし、ファクタリングにはそのような過程はありません。
そのため、最短で即日というスピーディーな資金調達が可能です。
ただし、資金調達までの日数は「2社間ファクタリング」「3社間ファクタリング」で大きく異なります。
2社間ファクタリングとは、取引先を含めずに、ファクタリング会社と自社の2社間でやり取りをするファクタリングです。
2社間なので、資金調達までのスピードが早いのが魅力です。「即日」に対応してくれるファクタリング会社は、ほとんどこのタイプでしょう。
2社間ファクタリングの仕組みやメリット・デメリット、手数料について紹介します。
2社間ファクタリングは①~④の流れで行われます
①自社がファクタリング会社に売掛債権を売却する
②ファクタリング会社が自社に手数料を差し引いた金額を支払う
③取引先企業が自社に売掛金を支払う
④自社が受け取った売掛金をファクタリング会社に支払う
2社間ファクタリングでは、取引相手に何かを依頼することはありません。債権や資金のやりとりは2社間のみで完結します。
売掛債権の現金化までにかかる日数は、最短で即日、平均3日ほどです。
2社間ファクタリングでは、取引相手を巻き込まずに済みます。
ファクタリングは適切な資金調達方法の一つです。しかし、取引相手に「ファクタリングを活用するほど資金繰りに困っているのだろうか」と思われる恐れはあります。
「取引先には経営状態を知られたくない」という企業にとっては、2社間の方がメリットは大きいでしょう。
また、2社間でのやり取りなので、売掛債権売却の依頼から現金化までがスピーディーです。
面倒な事務手続きも少なく、素早い資金調達が可能となります。「即日で」という要望に対応してくれる会社も多々あります。
さらに、2社間型のファクタリング会社は中小規模の会社が多く、審査基準もまちまちです。たとえ1社に断られても他の会社に当たればOKが出るかもしれません。
ただし、審査基準の甘い会社は手数料が法外だったり信用度が低かったりする恐れがあります。法律に則っているか、十分な見極めが必要です。
2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングと比較すると手数料が高めです。中には通常の5倍以上の手数料を設定するファクタリング会社も珍しくはありません。
また、2社間ファクタリングは大手や銀行系ではほとんど見られません。ファクタリング会社は玉石混交となりやすく、「はずれ」を引く確率はそれなりに高いといえるでしょう。
2社間ファクタリングの手数料が高いのは、2社間の方が「代金未回収リスク」が大きいためです。
2社間ファクタリングでは、3社間ファクタリングよりも利用者の「持ち逃げ」や「売掛金の使い込み」が頻出します。
ファクタリング会社は手数料を高く設定することで、万が一の時のリスクヘッジをしています。
3社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社、さらには取引企業も加えてやり取りします。
3社間ファクタリングの仕組みやメリット・デメリットなどを見ていきましょう。
3社間ファクタリングは、①~③の流れで行われます。
①自社がファクタリング会社に売掛債権を売却する
②ファクタリング会社が自社に手数料を差し引いた金額を支払う
③取引先企業がファクタリング会社に売掛金を支払う
3社間ファクタリングでは、取引先企業の承認が必要です。ファクタリング会社に売掛債権を売却する際には、取引相手にもその旨を連絡しなければなりません。
なお、売掛債権の現金化までにかかる日数は、平均で5日から1週間ほどです。
3社間ファクタリングは、取引相手がファクタリング会社に直接振込をします。
途中で売掛金を抜かれたり使い込まれたりするリスクは少なく、未回収リスクは低めです。
高額な手数料でリスクヘッジする必要がないため、2社間ファクタリングよりも手数料は低く設定されています。
また、3社間ファクタリングなら大手や銀行系の会社も利用可能です。取引の安全性が気になる企業にとっては、信頼性の高い会社を利用できることは大きなメリットといえるでしょう。
3社間ファクタリングは関係先が増える分、2社間よりも現金化までに時間が掛かります。具体的には、半日から1日程度の遅れが生じるでしょう。
「即日」を希望する場合、3社間ファクタリングはまず選択肢に入りません。
また、3社間ファクタリングでは、当然ながら取引相手に現状を知られてしまいます。もしかすると「経営状態が悪いのでは」などと勘ぐられるかもしれません。
相手のファクタリングへの印象や認識次第では、自社の信用度が低下する恐れがあります。
前述の通り、3社間ファクタリングにおける売掛金未回収リスクは高くありません。そのため、手数料は2社間よりもぐっと低めに抑えられています。
ファクタリングは、支払サイクルの長い職種や業種に適した資金調達方法です。どのように活用するのが有益なのか、見ていきましょう。
ファクタリングを活用すれば、キャッシュポジションを拡大できます。
支払サイクルが長いと、キープできる現金が少なくなりがちです。突発的なトラブルが起こった時、これでは対応できません。
資金がショートして、いわゆる「黒字倒産」になる危険性は高いでしょう。
しかし、ファクタリングを活用すれば、売掛債権を資金化できます。現金が手元に多く残り、資金ショートに怯える必要がありません。
キャッシュフローが改善され、健全な事業状況を保ちやすくなります。
「銀行からすでに多額の融資を受けている」「信用度が低く貸し付けてもらえない」…、このような状態で資金を調達できない時も、ファクタリングの活用が有益です。
自社の経営状態が悪化していても、取引先が安定してれば売掛債権を売却できます。即日払いも可能なため、「今すぐ」にも対応できます。
ただし、銀行口座が生きていることは必須です。経営状態が悪くても関係ないとはいえ、口座を差し押さえられていてはファクタリングも利用できません。
ファクタリングの手数料や現金化までの日数は、会社によって異なります。自社の希望に沿うサービスを選ぶには、ポイントを押さえたチェックが必須です。
ファクタリング会社を選ぶ時、気をつけたいポイントを紹介します。
まず重要なのが、売掛債権の売却から資金化までにどのくらいの日数がかかるかということです。
前述の通り、3社間ファクタリングは入金までに時間がかかります。即日対応を希望するのであれば、2社間ファクタリングを行っている会社を選びましょう。
一口にファクタリング会社といっても、買取り金額の上限・下限は異なります。自社が売却したい金額に対応してもらえるかどうか、事前の確認が必須です。
小口専門なら500万円程度、銀行系や大手なら1億円程度まで可能なところなど、さまざまあります。
現在のところ、ファクタリングの手数料について明確な法規制はありません。そのため、ファクタリング会社の中には法外な手数料を要求するところもあります。
あまりにも手数料が高いと、売却しても手元に残る資金はごくわずか。
1~30%を越えるような手数料を要求される場合は、いったん交渉を停止して、他の会社を検討しましょう。
高額な手数料を支払うとかえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性があります。
ファクタリングは融資ではありません。ファクタリング契約時に売掛債権以外の担保を求めてくる会社は、あまり良い取引相手とは言えないでしょう。
違法業者である可能性が著しく高いため、他の会社を探すことをおすすめします。
ニーズの高まりとともに、多様なファクタリング会社が次々と登場しています。ファクタリングのやり方や手数料等はさまざまなので、自社にとって使いやすいところを見つけましょう。
2社間・3社間のファクタリング会社中から、手数料やサービス面で納得できるおすすめの会社を紹介します。
数時間で売却が完了する会社もあるので、「即日希望」という企業はぜひチェックしてみてくださいね。
マネーフォアード アーリーペイメントの最大の特徴は、上場企業のグループ会社が提供するファクタリングサービスのため信頼性が他のサービスに比べて圧倒的に高いことです。
手数料は1.0~10.0%程度で、業界最安水準。調達可能額も、最低数万円から最高で数億円までとかなり大きい額の資金調達にも対応しています。
また他のファクタリングサービスでは請求書の買取が一般的ですが、アーリーペイメントでは発注時点の債権の買取も可能です。
そのため案件着手〜入金までの期間が長く、前だしの費用が多く発生する広告代理店やシステム受託などの会社には特におすすめしたいサービスです。
唯一のネックは、初回審査の期間が5~10営業日程度、2回目以降も最短2営業日後なので、入金スピードが他のサービスと比較すると少し遅いことです。
ただ、これだけの金額の資金調達が2営業日程度で受けられるだけで十分速いといえるため、基本的に入金スピードで困ることはないでしょう。
・買取額:数万円~数億円
・現金化スピード:最短2営業日
・発注時点での債権も買い取り可能
・設立:2017年 3月
手数料率:1.0%~
アクセルファクターは、審査通過率9割以上とスピーディーさを誇るファクタリング会社です。
資料不足・用意できないなどで断られてしまうようなケースでも、アクセルファクターでは代替書類を使って柔軟な対応を行い、資金難を解決へと導きます。
即日での対応を基本とし、資料の確認をできる限り簡素化してスピーディーな審査を実現しています。
このほか、少額取引をはじめ介護報酬債権や診療報酬債権といった医療債権のファクタリングも行っており、個人事業主から中小企業まで幅広く対応しています。
書類不足でお困りの方や医療債権をお持ちの方におすすめのサービスです。
・買取額:下限無し~1億円
・現金化スピード:1,000万円までなら最短24時間以内 ※200万円までなら最短3時間
・設立:2018年 8月
・医療債権の取り扱いあり
・スピード重視の2社間ファクタリング、価格重視の3社間ファクタリングが選択可能
~100万円:8%〜15%
101~500万円:5%~13%
501~1,000万円:2%~8%
OLTA(オルタ)は、申し込みから契約までの手続きを全てオンライン上で行えるクラウド型のファクタリングサービスです。
そのため、紙の書類やハンコのほか対面での面談も一切不要となり、審査完了まで24時間(1営業日)以内というスピーディーな対応を実現しています。
また、新生銀行やNTT西日本と業務提携を結んでおり信頼性が高く、業界最低水準の手数料(2%~9%)も魅力のひとつです。
買い取り額に下限上限の設定がなく法人・個人事業主を問わずお申し込みが可能で、譲渡禁止債権でも買取対応をしています。
手続きをネットで済ませたい方や、手数料を抑えたい方におすすめです。
・買取額:下限上限なし
・現金化スピード:24時間以内審査、即日振込
・設立:2017年 4月
・譲渡禁止特約付債権の買取可能
手数料:2%~9%
ファクタリングは、売掛債権を資金化できるサービスです。融資とは性質が異なるため、経営状況の良し悪しにかかわらず利用できます。
また、2社間ファクタリングならスピード感もあり、即日資金化も可能です。「今すぐ現金が必要」「資金ショートに備えたい」などと考える企業に向いています。
ただし、手数料は高額になりがちなため、資金化を急ぎすぎると不利な取引となる恐れもあります。加えて法整備が十分になされていないため、グレーゾーンやブラック業者も少なくありません。
ファクタリングで資金調達をする際は、ファクタリング会社の選定に十分注意してください。
スピーディーで手数料負担の少ない会社を探している企業は、このたび紹介したファクタリング会社をまずはチェックしてみてはいかがでしょうか。
画像出典元:Pixabay、Pexels