新型コロナウイルス感染症対策の観点から、今春以降急激に増加したテレワーク。
企業によってはそのままテレワークに完全移行したというところもあります。
オフィス勤務であれば、従業員の働きぶりなどは目に見えて判断しやすいものですが、テレワークになると従業員がいまどのような状況にあるのかが途端に見えにくくなります。
しかし、テレワークが今後も続く、あるいは再度テレワークで業務を行う可能性が拭いきれない場合には、テレワークでの人事評価制度の見直しを早急に図る必要があります。
そこで今回は、「テレワークでの人事評価」をテーマに、テレワークに適した人事評価とはどのようなものか、実践方法や注意点、成功させるポイントなどを解説していきます。
また、テレワークでの人事評価をおこなう企業や担当者が導入するのにおすすめな人事評価システムについてもご紹介します。
このページの目次
今春の春からメディアを含めてよく聞かれるようになった「テレワーク」という言葉。
このワード自体は、新型コロナウイルスが蔓延する以前からあったものですが、あまり身近でなかったという人もいるでしょう。
ここでは、まず「テレワーク」とは何かについて簡単におさらいしてから、テレワークに適した人事評価とは何かついて解説していきます。
そもそもテレワーク(telework)とは、「tele(離れた場所、長距離)」と「work(仕事)」の2つの言葉を掛け合わせた英語で、オフィスから離れた場所で仕事をする勤労形態を指しています。(ちなみに、telephone(テレフォン:電話)やtelepathy(テレパシー:精神感応)のteleも同じ意味を持ちます)
オフィスから離れた場所とは、たとえば自宅やカフェ、サテライトオフィスといった場所がそれに当たります。
近年ではリモートワーク(remotework)という働き方が登場したこともあって、テレワークとリモートワークが混同されやすくなっています。
テレワークはオフィス勤務がメインの勤労形態であり、リモートワークはオフィス以外の場所で働くことがメインになっている勤労形態を指します。
ですので、オフィスに自席がなく自宅やコワーキングスペースで働いてもらうような場合に、リモートワークと表現するのはそのためです。
こうしたニュアンスの違いを把握したうえで、テレワークでの人事評価について考えていきましょう。
まず、テレワークに適した人事評価とは、一般的な人事評価とどう違うのでしょうか?
オフィス勤務を基準に評価制度を設計していた場合、テレワークはイレギュラーな勤労形態になります。
そのため、評価基準の照準が勤務態度や成果につながる行動、成果を出すためのプロセスといった目に見えるものに絞られています。
そこで必要なのが、テレワークでも不当な評価にならないように、「評価方法の統一」「目標管理制度」「人事プロセスの見直し」を含めた制度設計の変更です。
まず、テレワークでは評価担当者と従業員が直接対面する機会が減ります。
その影響から、評価担当者はつい目に見えやすい成果や実績などの部分を基準にして評価する傾向があります。
しかし、これはオフィス勤務を前提とした評価と大差なく、テレワークに適した評価とは言えません。
そこで、取り入れたいのが目標管理制度です。
たとえば、従業員一人ひとり、あるいはチーム単位で達成したい目標と期間、実現のために必要な取り組み、中間目標を決めることで、離れていても適正に評価しやすくなります。
また、それらの項目にもとづき、必要に応じて振り返りを行って評価していく仕組みがあれば、従業員の行動指針にもなります。
評価項目が明確になるため、評価方法の統一化にも繋がりますから、人事評価プロセスを見直す際にも役立ちます。
マネジメント側にとってテレワークは、勤務実態を把握しにくいこともあり、人事評価が難しくなると頭の痛い問題になっていることでしょう。
しかし、テレワークを導入するのであれば、テレワークに適した人事評価制度の設計は避けられません。
ここでは、テレワークの人事評価をどのように行えばいいのかについて解説していきます。
テレワークでの人事評価が、従来のやり方では適切ではないことはすでに述べた通りです。そこで、テレワークでの人事評価制度では、業務の見える化が肝要となります。
その一つが、目標管理制度の導入です。そのほか、積極的にコミュニケーションを図るための制度設計も必要です。
従来、オフィスで面談の形で実践できていたコミュニケーションも、テレワークになると途端にコミュニケーションが不足して、お互いの意思疎通が図れない問題も増えています。
ここで大切なのは、努力というお互いの意識ありきでのものではなく、具体的に制度化して実践することです。
たとえば、業務報告を定期的に行える仕組みにする、突発的な相談の場合は適宜場を設けるなど、どのタイミングでコミュニケーションを図るのか予めルール化しておくのです。
相談の内容によってはテキストコミュニケーションでは対応しきれない場合もありますから、その場合はZOOMを活用するなどして、積極的にコミュニケーションが取れるようにします。
全ての業務がテレワーク化されていない場合は、後日、直接対面で議論するなど状況に合わせてコミュニケーションの図り方を用意しておくといいでしょう。
こうすることで、評価担当者は従業員の仕事のプロセスや課題が可視化できるようになりますし、適正な人事評価に繋げていけます。
テレワーク下では、コミュニケーションの図り方がオフィスワークとは異なります。
そのため、コミュニケーションを円滑にするためのITツール導入は欠かせません。
また、勤怠についてもオフィスとは異なり把握しにくい項目の一つですから、これらも手間をかけずに管理できるツールは積極的に導入したいものです。
テレワーク下で人事評価をする際の注意点としては、次の点が挙げられます。
まず、テレワークという状況は従来の働き方から見ると、イレギュラーな勤労形態です。
スタートアップなどで、もともとテレワークを主体に業務進行している場合を除いては、オフィス勤務による就労が一般的でしょう。
そのため、信頼関係を築くのにも、対面でのコミュニケーション重視で成り立っている場合が多いはずです。
しかし、テレワーク環境では常に対面でコミュニケーションが図れるわけではありませんから、対面コミュニケーション以外での関係構築も視野に入れて制度設計する必要があるのです。
ここで肝要なのが、評価者である上司が結果ばかりを求めないという意識です。とはいえ、上司の意識のみに頼っていては制度として危ういといえます。
人事評価制度を見直す際には、裁量労働に偏らないように設計して、どのようにマネジメントするのが良いのかを考慮しなくてはなりません。
行動の管理や監視ばかりされるようでは、自分は信じてもらえていないのではないか?という疑念が従業員に生まれてしまいかねません。
そうなっては、信頼関係を築くのがより一層難しくなります。
お互いの状況が見えにくいからこそ、信頼関係の構築は優先的に考えたいものです。
テレワークでの人事評価は、オフィス勤務での人事評価とは異なることが、課題を生んでいるともいえます。
その課題にどのようにアプローチしていけば解消できるのか。また、テレワーク下での人事評価を成功させるためのポイントとは何かについて、本項では触れていきます。
まず、テレワークでの人事評価の課題として挙げられるのは、次の3つです。
勤務態度による評価が困難な理由は、テレワークにより評価者である上司が部下の勤務態度や勤務状況を直接観察できない点にあります。
オフィスへ出社して勤務に当たる場合は、出欠やオフィスでの働きぶりを見て評価することが容易でした。しかし、テレワークになれば、社員の自主性に任せる部分が出てきてしまいます。
自主性のみに任せてしまうのは、会社としては不安要素にもなりえるでしょうから、どのように勤務態度を管理・監督するかというのも、ある程度のルール化は必要になるはずです。
近年では、テレワークでの勤怠管理用ツールもさまざまなものが登場しています。
それらを活用するのはもちろんのこと、会社内でも評価者それぞれで評価するポイントにバラつきが出ないようにせねばなりません。
バラつきが出るのは、評価者に共通する評価項目や評価基準がないため。
そのバラつきは、評価される側の従業員にとっては、何を基準に評価されているのかわからないなどの不安感を招く要素になります。
会社側は、共通する評価項目と基準を設け、さらにはそれらを従業員も周知徹底し、理解を求めることが肝要です。
また、テレワーク下での人事評価は、人事評価プロセスにも影響を与えやすいものです。
従来の人事評価では、自己評価・一次評価者・二次評価者・最終評価決定といった段階を踏んで行われますが、テレワークでの人事評価の場合、それぞれの段階で評価に遅延が生じやすいからです。
たとえば、一次評価では、自己評価による評価が事実と相違ないかどうかを確かめます。
このとき、従来であれば、本人による自己評価内容と普段の勤務態度を比較して評価ができます。ところが、テレワークでは、普段の勤務態度が観察できません。そのため、評価が難しくなります。
一次評価での評価内容を二次評価者がさらに評価しますが、一次評価の内容が正しいかどうか判別しにくく、ここでもまた評価に時間を要することになります。
こうして最終評価決定まで、それぞれの段階で評価に遅延が生じやすい状況が生まれてしまうのです。
これらを避けるには、やはり評価される本人を含めた評価者に評価項目や基準を共通させておくことは、それぞれの課題を解消するうえで非常に重要な課題だといえるでしょう。
テレワークでの人事評価を成功させるポイントは、次の点にあるといって差し支えありません。
評価項目を明確にすることは、成果や実績だけに注目してしまうのを避ける効果もあります。
いつまでに何をするのかという目標管理制度を併せて導入することで、従業員のアクションが評価項目に沿っているのかどうかも評価可能になります。
さらには、評価基準を統一化することで、基準をもとにアクションの是非を判断できますから、企業理念に沿った人材育成にも繋げていけます。
人事評価プロセスは、もともとオフィス勤務前提で設計されたものであるはずですから、テレワークにはそぐわない部分もあるでしょう。
オフィス勤務者とテレワーク、それぞれの環境をベースにプロセスを最適化させることによって、従業員に不利な評価を避けることができ、さらにはテレワークにおける人事プロセスの遅延を防ぐことも可能になるはずです。
画像出典元:「HRBrain」公式HP
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※参照:「HRBrain」公式HP
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画像出典元:「サイレコ」公式HP
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(コンサルティング:従業員50人以下)
※参照:「サイレコ」公式HP
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本記事では、いま人事担当者が注目したい人事制度システムについてもご紹介しましたが、ただシステム導入をすれば全ての課題がクリアされるわけではありません。
導入を検討する際には、まず評価項目・評価基準・プロセスの見直しから始めていきましょう。
画像出典元:Pixabay
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