助成金とは?中小企業の資金繰り受給しやすい5種類の紹介

助成金とは?中小企業の資金繰り受給しやすい5種類の紹介

記事更新日: 2021/02/19

執筆: 池田大輝

助成金とは、雇用・労働関係の支援を目的とした返済不要のお金がもらえる制度です。補助金に比べ、助成金の取得倍率は低く、比較的ご利用しやすい制度となっています。その種類は様々で、細かく利用の目的でわけられています。

全ての前に、まずは助成金の申請が可能かどうか、助成金の「共通要件」と「中小企業の範囲」を必ず確認してから具体的な助成金の検索を始めましょう。

この記事では、5種類の助成金の紹介しています。5種類の中でも様々なコースがあります。気になったものから確認していきましょう。

助成金とは?

助成金とは、特定の要件を満たした事業者が、国から返済不要のお金がもらえる制度です。その多くは雇用増加、人材育成を目的として給付が行われています。

助成金の受給要件は各種助成金によって変化しますが、その要件を満たしていれば、基本的に受給可能で、受給されたお金の使い道に制限がありません。

多くの助成金には申請期間が設けられていません。年中申請可能です。例外として、約2ヶ月で締め切るものもあるため、早急に申請することが良いとされています。

とても事業者にとって親切な制度ですが、一点注意が必要です。助成金は、申請から受給までに約1年〜1年半ほどかかります。手元にすぐお金が必要な、資金調達を目的とした事業者の方には向いていません。資金調達が必要な事業者の方は、ぜひ関連記事から14の資金調達の方法を読んでみてください。

 

助成金と補助金の違いとは?

助成金と似たような言葉として「補助金」があります。まず、共通点はどちらも返済不要で、支給されるまでに時間がかかることです。

助成金と補助金は1.目的、2.応募期間、3.支給額、4.倍率の4点が違います

1.目的について
助成金は厚生労働省が雇用増加や、人材育成のために制度を設る場合が多いです。一方で、多くの補助金は経済産業省が主体で、経済の活性化や新しい事業の創造が目的として実施されています。

2.応募期間について
応募期間に関しては、助成金は年中申請を受け付けています。募集人数に制限はなく、申請され、要件が見合った事業者全てに支給されます。(注:あまりに募集人数が多いと2ヶ月で締め切る場合もあります)

3.支給額について
補助金は3月〜4月から申請が開始され、予算限度が決まっていて、支給金額が数百万円から数億円(助成金は100万程度)にまでのぼる可能性があります。

4.倍率について
そのため、約1ヶ月ほどで締め切るケースが多く、応募期間の短さと支給額の大きさから、助成金に比べると倍率が高くなる傾向があります。

絶対使いたい助成金5種類の紹介

1. 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

緊急事態宣言が解除された翌月末までの特別措置として実施している助成金です。

対象は新型コロナウイルス感染症の影響により、休業を余儀なくされている全ての業種の事業主。目的は従業員の雇用維持であり、休業手当の一部を助成してします。

通常の雇用調整助成金では、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業の縮小および休業を余儀なく行っている全ての業種の事業主が対象です。

雇用調整助成金についてはこちら

2. キャリアップ助成金

こちらの助成金は有期雇用労働者、無期雇用労働者などの非正規雇用者のスキルアップを行い、企業内でのキャリアアップを促進し、正社員化の取り組みを行う事業者を支援しています。全てで、7つのコースがあります。

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 健康診断制度コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度共通化コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

キャリアアップ助成金についてはこちら

3. 人材開発支援助成金

こちらの助成金は企業内の職務執行に必要な専門知識や技能を、従業員が身に付けるための研修または制度を計画し、実施した場合に受給が可能です。これから従業員の研修や育成に力を入れていきたい方にオススメです。すべてで、4つのコースがあります。

  • 特定訓練コース
  • 一般訓練コース
  • 教育訓練休暇付与コース
  • 特別育成訓練コース

人材開発支援助成金についてはこちら

4. 人材確保等支援助成金

こちらの助成金は、企業内の労働環境の改善・向上を目指し、人材の確保・定着に取り組む事業主が対象となっています。労働環境で問題があるからこれから解決していきたい、労働の生産性をあげる設備や仕組みが必要な方にオススメです。すべてで、7つのコースがあります。

  • 雇用管理制度助成コース
  • 人事評価改善等助成コース 
  • 設備改善等支援コース 
  • 働き方改革支援コース
  • 介護福祉機器助成コース
  • 介護・保育労働者雇用管理制度助成コース  
  • 中小企業団体助成コース 

人材確保等支援助成金についてはこちら

5. 両立支援等助成金

こちらの助成金は出産、育児、介護などの家庭生活を仕事生活との両立を可能にする職場作りを推進する企業を支援しています。少子高齢化社会に合わせて会社を変化させていく予定の方にオススメです。すべてで、5つコースがあります。

  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 再雇用者評価処遇コース
  • 女性活躍加速化コース

両立支援等助成金についてはこちら

具体的な助成金を探す前に確認すること2点

助成金の「共通要件」とは?

具体的に利用できる助成金を探す前に、確認すべきことが2点あります。

それは「共通要件」と「中小企業の範囲」です。

「共通要件」とは、全ての助成金に共通して満たしておかないといけない複数の要件です

共通要件は厚生労働省のパンフレットに記載されていますが、この記事では簡単にその内容を以下7点に要約させていただいております。

  • 雇用保険適用事業所であり、労働保険料を滞納していない
  • 審査に必要な書類等を整備・保管し、管轄労働局等からの求められる書類提出・実施調査に協力する
  • 助成金の申請期間内に申請を行っている
  • 過去3年間に、不正受給していない
  • 申請を行う前日の1年間前から、申請当日まで労働関係法令の違反をしていない
  • 暴力団・性風俗関連の事業を行っていない
  • 助成金に中小企業の申請制限がある場合、厚生労働省が定める、中小企業の規定範囲である

「中小企業の範囲」とは?

助成金には、厚生労働省が定める中小企業の範囲が明確に記載されています。それが、以下の条件になります。

業種 資本または出資の総額 常時雇用している労働者数
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業者 3億円以下 300人以下


助成金の種類によっては、中小企業の範囲は変化し、例外もあります。

例えば、「職場定着支援助成金(中小企業団体助成コース)のゴム製品製造業、情報処理サービス業、旅館業。「中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金、両立支援等助成金(女性活躍加速化助成金)」では、業種と出資額に関係がなく、「常時雇用する労働者数」が300人以下であれば中小企業として認められます。

助成金のメリット・デメリット

助成金のメリット

  • 要件が満たせれば受け取れる場合が多い
  • 返済不要
  • 受給後のお金の使用用途は自由

助成金は要件を満たしていれば大体の場合お金を受け取ることが可能で、その受給金の使い道は自由です。さらに、申請期間を定めていない助成金が多く、とても柔軟で利用しやすい仕組みとなっています。

助成金のデメリット

事業者にとって夢のような制度に見えますが、助成金にもデメリットがあります。

  • 受給まで約1年から1年半かかる
  • 事業の運転資金や設備投資には向いていない

お金を受け取るまでに1年から1年半ほど時間がかかります。それは、不正な受給を防ぐ為に、半年ほどの待機時間が原因です。

また、助成金の多くは雇用・人材育成の支援が目的です。なので、素早く手元に資金が必要な事業者の方には、助成金制度ではなく銀行からの融資やクラウドファンディングをオススメします。

お金を受け取るまでに時間は掛かりますが、要件を満たしさえすれば、とても柔軟な制度なので、ぜひご利用をオススメしています。

まとめ

助成金は返済不要で、倍率の低い、柔軟な制度ですが、お金の受け取りまでに1年から1年半かかる場合があります。特に、雇用・労働関係の改善に力を入れている企業にオススメです。

さらに、助成金には様々な種類があり、自社に見合ったものを見つけるのは骨が折れます。まずは、自社がどのような問題を抱えているのかを考え、向き合うことで利用できる助成金が見つけましょう。

画像出典元:Unsplash、pixabay

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